二重スリット実験の疑問点

浅学故、間違っている点や記述のおかしい点が多々見られるかと思いますが、優しくご指摘いただけますと幸いです。

なお、この記事を書く目的は自分の疑問を整理するためのものです。

 

疑問

二重スリット実験を考えます。電子銃で打ち出された電子は二重スリットを通ると干渉縞が見られます。スリットの前で観測するとスリットの延長上のスクリーンでのみ電子が観測される。つまり粒子的な振舞いをする。

前者は波動関数が干渉している(?)という説明でなんとなく腑に落ちました。後者について疑問がありました。私の知っている量子力学的な波束は、この実験における粒子的な振舞いを説明できるのか?というものです。

具体的には、波束に収縮した状態が(少なくともスクリーンで観測されるまでは)続く というのを波束で説明できれば御の字、ということです。

そもそも、波束ならば粒子という包含関係が成立するのか という疑問については、ひとまず考えないでおきます…

 

波束に収縮した状態が続くには

結論は、「真空中ならOK」です。

 

波束の話からいきましょう。

座標空間における波束は、様々な波束(運動量)を持つ平面波の重ね合わせとしてフーリエ変換で表せます。ここで、それぞれ異なる波数を持つ平面波がそれぞれ異なる速度(位相速度)で動く場合、波束は次の瞬間に崩壊します。具体的な波形のイメージは下記リンク参照。

というかちゃんと全部ここに書いてある。このまとめなおし書く意味ある?????

dora.bk.tsukuba.ac.jp

 

それぞれ波数を持つ平面波の位相速度がどれも同じとき、分散がないといいます。このとき、波束は時間経過で崩壊しない。

ここで角周波数 \omegaと波数 kの関係を分散関係といいます。

 \omega = \omega(k)

なんの捻りもないですね… 。式使いたかったんだ

分散がないとき、位相速度 vは定数であり、角周波数と波数は

 \omega =vk

という比例関係にあります。

 

ところで、これを”分散”関係というには理由は以下の通りです。

プリズムに白色光を入射すると波長ごとに異なる角度で屈折し「分散」する。これは波長により屈折率、すなわちプリズム中での光速が異なることによる。波長ごとに光速が異なることを「分散がある」と呼んだり、\omegakとの関係を「分散関係」と呼ぶ理由がここにある。

引用元:量子力学Ⅰ/群速度と波束の崩壊 - 武内@筑波大 注釈2

光では、物質中において分散がかかり、波形が崩壊します。

波動関数でも同様で、物質中なら分散がかかり、真空中なら分散がかかりませんなんで波動関数でも同様なんでしょうね…

つまり、真空中なら波束は崩壊せず、粒子性を保ったままでいてくれる!

 

具体的なイメージ

具体的に二重スリット実験をイメージしてみます。黄色いのが電子。矢印は速度です。

f:id:realname:20200324110323j:plain

自作ざっくりイメージ図

 電子銃から射出された電子が観測されて、位置が確定(波束になる)します*1。この波束は、様々な波数(運動量)の重ね合わせとなっており、運動の方向・速さは(ほぼ)わかりません。

 スクリーン上で観測されうる波動関数運動量がちょうどスリットを通り抜ける向きになっている(オレンジの矢印)ものだけなので、粒子性を示すような結果になる。*2

私の、現時点での解釈はこんな感じです。

 

おわり

完全に解決してはいませんが、だいたい納得できました。

お名前は出しませんが、Twitterでご親切に説明いただいた某先輩、大変助かりました。ありがとうございました。

 

 

*1:これは電子銃からの射出なので、運動量\bf pに一定の条件があるはずです。その条件がどれほど厳しい拘束なのかは私にはわかりません。しかし、座標空間の波束を作るためにはあらゆる運動量を持つ平面波を重ね合わせる必要があります。電子銃から射出されたという条件を満たす、限られた運動量から、波束を作れるのか?というのは今だ疑問です

*2:この一文に凄く違和感があるので修正したいですね…